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【JAZZの髄(ズィ)】2010/03/26号



ジャズ・ライターの 富澤えいち がお送りする
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   メルマガ「JAZZの髄(ずい)」
                         2010/03/26 配信
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◆【ライヴ短評】━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・‥‥‥………


赤崎真由美@六本木・ソフトウインド

          <メンバー>
          赤崎真由美(ヴォーカル)、中嶋美弥(ピアノ)


彼女は、手の届きそうなほどの目の前で、歌っていた。

手の届きそうな距離に立っていたのは、店がすこぶる狭かったからだった。

六本木の交差点から間近の、雑居ビルの階上にあるそのライヴハウスで、

彼女は歌っていた。名古屋を拠点にジャズ歌手としての活動を続けている彼女が、

久々に東京に出て歌う機会であるとともに、それは定期的な東京での活動を

スタートさせる“前触れ”になるものだった。


彼女の名前は赤崎真由美。その名をボクが知ったのは、3年ほど前になる。

ブログに設置してあるメール投稿機能を経由して、彼女のメールがボクに届いた。

読んでみると、アルバム制作を進めていて、そのアルバムに同封されるライナー

ノーツの解説文を書いてほしいというものだった。断る理由も見つからず、ボクは

すぐにお礼と承諾の返事を出した。


ただし、できあがったアルバムのサンプルを送ってもらって、それを聴いた“感想”

だけを書くのではツマラナイし、精魂を込めて制作するであろう赤崎真由美本人に

対しても「申し訳ない」という想いが横切り、自分から「名古屋へ行ってアナタの

ライヴを聴いてから、原稿に取り掛かりたい」という条件を勝手に付けてしまった。


仕事上、止むを得ないことも多いのだけれど、ライナーノーツなど文字量の多い

原稿を書くのであればなおさら、情報量を多くして臨みたいと思っている。


ちょうど、プライヴェートで引越しの予定があり、それが済めば時間にも余裕が

できるはずだったので、名古屋へ“取材”に行くつもりになっていた。


ところが、アクシデントがあって引越しの予定が延期になってしまい、ボクは

1ヵ月経たない間に身動きが取れない状態に陥ってしまった。そうして、

名古屋取材の計画は頓挫してしまった。


ボクは彼女に事情を説明し、ライナーノーツの話を辞退させてもらうことにした。

くだらないプライドかもしれないが、宣言した以上、取材もせずにただ送られた

資料のみでお茶を濁した原稿を書きたくなかった。いや、そのごたごたで書く気が

萎えてしまったといったほうが正しい。誠にダラシナイ話で、そのわだかまりが

ボクの心にこびりついて消えなくなっていたのだろう。懸案の引越しを終えて、

生活も落ち着いてきた今年の正月、この2~3年で不義理にしていた約束を実行

していく“新年の計”を立てたボクは、リストを書き出しているうちに、名古屋

取材のことを思い出していた。そして、名古屋行きの計画を立てようと、赤崎

真由美のホームページにアクセスして、スケジュールを調べ始めた。すると、

彼女に東京へ来る予定があるではないか。


こうしてボクは、スケジュール表のその日の欄にチェックを入れ、横浜から電車を

乗り継いで、六本木のそのライヴハウスのドアを押して入り、案内された窓際の

ヴォーカルマイクスタンドが目の前に立っている席に着いて、開演を待つことに

なった、というわけだ。


実現した“リアル赤崎真由美”の2セットのステージは、楽しい体験だった。

小ぢんまりとした規模のライヴハウスに出演するために、彼女は伴奏をピアノ

だけにしたスタイルを選んでいた。間に30分ほどの休憩を挟んで50分1セットを

2回行なうという、オーソドックスなステージを、彼女はこれもまたオーソドックス

にスタンダードと呼ばれる曲を中心に構成していた。


名古屋のライヴシーンの水準はかなり高く、それはボクも何度か取材をしたことが

あるのだけれど、彼女もまたその激戦地で鍛えられたであろう観客を強く惹きつける

パフォーマンスを披露してくれた。


実はボクは、2セットを通して彼女のステージを見詰めながら、ずっと1つのことを

考えていた。それは、赤崎真由美の“声の魅力”についてだった。


とても特徴のある、アルトの中音域に顕著となるもので、高音部ではファルセットを

使い透明感が強くなり、その対照的なようすもまた彼女の個性を際立たせることに

なる。


ボクの脳裏には、江利チエミや弘田三枝子といった、歴代のジャズを歌うディーヴァ

たちの幻影が浮かんでは消え、終にはプリプリの奥居香なんて名前まで飛び出す

始末だったのだ。興味がわいてきた人は、赤崎真由美のアルバム『ハート・ストリ

ングス』を聴いてみると良い。このアルバムは、ピアノとベースに加えて、ストリ

ングス・クァルテットを取り入れた編成で挑んだ意欲作。

水野修平による弦のアレンジが革新的で、赤崎真由美の“声の魅力”をさらに

浮き立たせている仕上がりが見事だ。


これだけ濃い内容だったのだから、やはり取材を抜きにしてライナーノーツなんぞを

引き受けるのは困難だっただろうし、なによりも「それじゃ勿体無い!」と思わざる

を得ないわけで、結果的に迷惑をかけることになったけれど、書かなかった、いや、

書けなかったこと自体は正解だったのだと、勝手に都合の良いことを独りごちている

と、いきなりMC(曲の合間のトーク)で「そろそろ次のアルバムも作りたいと

思っているんです。今度こそぜひ、富澤さんに解説、おねがいしますね」と

ステージ上から(といってもすぐ目の前だけど)声をかけられてしまった。


こんな個性的な実力派の、さらなるステップアップの“結晶”が生み出される瞬間に

たとえ末席でも立ち会うことができるのであれば、「喜んで!」としか答えられない

ではないか。ジャズが繋ぎ止めておいてくれた出会いに感謝をしながら、六本木を

後にした小雨降る夜だった。










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◆【編集後記】━━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………


赤崎真由美さんのライヴを見た翌日は、大磯へ行ってきました。

「すとれんじふるーつ」というジャズ喫茶で、牧野持侑さんがクリスタルボウル

の“倍音浴”を開催するのでお呼びがかかったのです。

クリスタルボウルというのは、大きなお鉢で、これを振動させて音を出します。

ライヴのステージはこんな感じ⇒ http://twitpic.com/15kx1m

後ろの大きなスピーカーはホンモノですよ(笑)。


翌々日には池袋で、「インターナショナル・ショーケース2010」というのを

見てきました。この催しは、文化庁主催で、若手・中堅の芸術家を海外に

紹介するプログラムの一環だとか。

清水靖晃さんはベテランだと思うのですが(笑)、彼のスタンダードを聴く

ことができたこの機会を与えてくれた「お上」には素直に感謝しちゃいます。

渋谷慶一郎のピアノも初体験。実に楽しいイヴェントでした。清水さんの

事務所からご案内をいただいたのですけれど、基本的に無料イヴェントなので、

自分でネットから申し込みをして、全席自由のために東京芸術劇場に時間まで

に到着して、並んで席を取ったという苦労が無駄にならない、すばらしい内容

だったことを、もしこのイヴェントが事業仕分けに引っかかった際には、

削減の対象にならないように証人として出頭しうかもしれないです(笑)。

告知が徹底していなかったようで、中ホールに空席が目立っていたようなのですが、

どうせ無料で公開するのであれば、もっと広くみんなにこうしたハイレヴェルの

パフォーマンスを体験してもらえばいいのに。そういう面では、下手というか

無駄というか、お役所的なイヴェントなんですね、やっぱり・・・。














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【JAZZの髄(ズィ)】2010/02/22号



ジャズ・ライターの 富澤えいち がお送りする
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                         2010/02/22 配信
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>音楽をめぐる言説がややもすると、例えば「あそこでぐっと来る(よ
>うな気がする)」といった、身体の奥の漠然とした疼きのようなもの
>についての感想に終始する理由は、まさにこのあたりにある。
>岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書)からの引用


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(つづきは編集後記へ)


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◆【ライヴ短評】━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………

渡辺香津美JAZZ回帰プロジェクト 2010/02/06 六本木STB139スイートベイジル


          メンバー
          渡辺香津美(ギター)、井上陽介(ベース)
          則竹裕之(ドラムス)
          ゲスト
          本田雅人(サックス)、藤陵雅裕(サックス)


1970年代初頭、日本の音楽シーンにも本格的な

エレクトリック・ジャズやロックの波が押し寄せてきた。

ちょうどそのとき、ベンチャーズやビートルズはもとより、

チャーリー・クリスチャンやウェス・モントメリーといった

ジャズ・トラディショナルな流れをも包括した弱冠17歳の少年が

登場した。渡辺香津美である。


彼はまず、ジャズをイノヴェートしてきた先人たちの技量を凌駕して

斯界の五月蝿方を黙らせ、いち早くジャズとロックを融合させた

ハイブリッドなギター・サウンドを開拓して同世代の心を

わしづかみにした。


以降、世界を席巻した活動などを通して、常にシーンの第一線で

インストゥルメンタル・ミュージックの可能性を広げ続けて

いるのだけれど、この数年の彼の作品(=アルバム)から伝わる

彼の指向は、交響詩的な構築美と叙情性を押し出した“ギター・

ルネッサンス”や、ギター・トリオのエレクトリック・サウンド的な

瞬発力を追求した“MO’BOP”という2本柱に象徴されるような、

渡辺香津美というアーティストの世界観と情動をそれぞれ集約させた

活動が主体だったので、ある意味でギタリスト(厳密にはジャズ・

ギタリスト)としての彼を“一時保留”しての“進化・探求”だったと

いえる。


しかし、音楽的人格の“核”を形成する三要素たるうちの1つを

置き去りにしたまま、渡辺香津美のギターは未来へと歩を進める

ことができなかった。

このような経緯から生まれたのが、新作『ジャズ・インプレッション』

だったのではないだろうか。


ところで、渡辺香津美が自らの“核”と考える“ジャズ”とは何なのか。


その答えは、実はアルバムではよくわからなかった。

というのも、彼はそこで自らを世間一般で想像しうる“ジャズ・ギター”に

落とし込んだようなサウンドを作るようなことを、これっぽっちも

考えていなかったからなのだが。


例によってそこには、枠を取り払った挑戦で溢れ、規制概念的な要素が

あったとしてもそれはフックでしかなく、とても“ジャズ・ギター”という

陳腐なコンセンサスでは説明しきれないアイデアが盛り込まれたものに

なっていたりしたものだから、イマイチ理解が及ばなかったのだけれど、

ステージで渡辺香津美が出した“生音”を聴いた途端、

「なるほどそういうことだったのか!」

と思念がリンクしたものだから、やはりライヴはやめられない。


なにが「そういうこと」なのかを分析するのが、

評論を前提として成立するはずのボクの仕事なのかもしれないが、

牽強付会に多くを語らず、なにかの柵から解き放たれたかのように

ギターを弾きまくる渡辺香津美の姿に感動を覚えたとだけ書き記して、

新たなる渡辺香津美の飛躍を楽しみたいと締め括りたいのだ。

そんなワガママを言いたい気持ちになったのも、

渡辺香津美がチラッと見せてくれた

次の“ジャズ・ギター”の世界に

期待を膨らませられすぎたからということで御容赦願いたい。


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◆【編集後記】━━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………

(つづき)

>言ってみれば音楽は感覚/感情のマッサージのようなものだ。だが
>果たしてマッサージは文句なしの「芸術」と言えるか? カント(彼
>もまたあまり音楽に興味がなかった)は、音楽を単なる「快適な技術」
>に過ぎないと考え、如才ない会話だとか、食卓に供せられる料理の類
>だとか、香水をふりかけたハンカチなどの同列に置いた(『判断力批
>判』上巻、岩波文庫、253/296ページなど)。感覚的刺激という点
>で音楽は最高位を与えられるが、理性という観点から見れば最低の芸
>術だというのである。
>岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書)からの引用


音楽が「理性的な芸術」ではないという議論は、

かなり昔からあるようですね。

今回のライヴ短評でも、ボクは渡辺香津美のステージの姿について

分析を保留しようとしていますが、それは分析ができないような

感情的な要素が先行する対象であるという意味ではなく、

安易な分析による固定概念化を避けたいという「期待」から

出た行動なのです。

それは何に対する「期待」かというと、

「ジャズは考える音楽である」ということと、

その理想を具現し続けているのが渡辺香津美というアーティスト

だということだから、なのです。

彼は音によって聴く者に何かを与えるのではなく、

音によって聴く者が何かを考えざるを得ない「場」を与える、

ということになるでしょうか。

それができる才能との出会いを、大切にできるかどうかが、

ジャズを、音楽を楽しむことができるかどうかの

「境目」になるかもしれないと思っています。



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Line Drive@大塚Welcome Back




◆【ライヴ短評】━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………

Line Drive@大塚Welcome Back 2010/01/22


          メンバー
          松井“JOKER”秋彦(作曲、ギター)
          岡田治郎(ベース)、嶋村一徳(ドラムス)
          クリスアキ(ピアノ)、前田祐希(ヴォイス)


ライン・ドライヴというバンドは、

CPJというコンセプトのコンテンポラリー・ミュージックを

展開する超絶技巧派を擁した集団のなかのユニットのひとつ。


CPJとは何かは、すでに繰り返しボクのブログや

ホームページ「ジャズ四谷口」などで触れているので、

参照していただくか、CPJをググってほしいのだけれど、

ひとことで表現するとすれば、「ドミソの地雷を踏まないと

誓った、限りなく天の邪鬼で超常識な世界観を実現しようと

する音楽」とでもいえるだろうか。


特徴的である変拍子や調性はおよそ幾何学的で

あるにもかかわらず、生み出されるサウンドは

既視感を伴った懐かしさや乱調によって醸し出される

ユーモアが横溢していて、彼らが音楽の狭く小さい枠を

取り払ってしまうのだ。


おそらくCPJの各ユニットを聴くことによって得られる

共通のカタルシスは、この“取り払う”という心理的作用に

よるものなのかもしれない。


当夜、ライヴが行なわれるウェルカム・バックという

ライヴハウスは、ホームページを見ると日本のジャズ/

フュージョン界の著名な演奏家が多数出演。

ボクは初見参で、どんな空間なのかと期待して向かった。


最寄り駅はJR大塚駅、徒歩3分という好立地なのだけれど、

市ヶ谷から地下鉄を乗り継いで、「たぶん近いだろう」

という憶測だけで地下鉄の新大塚駅から歩き出したものだから、

あやうく開演時間に間に合わなくなるところだった(汗)。

みなさんはちゃんと大塚駅を使いましょう。


さて、ライン・ドライヴは1作目『ライン・ドライヴ』のときから

ヴォイスとピアノが入れ替わり、新体制でのスタートを

きったばかり。


CPJのなかではもっとも“ジャズより”といわれる

このバンドだが、構築性が強いためにいわゆるジャズの

アドリブまかせ的な面が希薄で、メンバーのバランスが

変化したときにどうやってライン・ドライヴとしての

体裁を整えるのだろうかというのが、

当夜のボクの個人的な興味。


演奏が始まると、Line Driveらしさは失われていないことが

すぐに認識できたのみならず、CPJ的なポリ・ハーモニックな

醍醐味をもっともよく再現できるユニットではないかと

思わせる完成度が増していることに気づかされる。


リーズナブルなハーフボトルのワインを傾けながら、

ポピュラー音楽の足跡を見事に打ち消していく

複雑怪奇な音の羅列を満喫できるという

至福のひとときは、あっという間に過ぎていった。



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JOE POWERS × YOSUKE ONUMA SPECIAL LIVE@TMDU




◆【ライヴ短評】━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………

JOE POWERS × YOSUKE ONUMA SPECIAL LIVE@TMDU 2010/01/08

          メンバー
          ジョー・パワーズ(ハーモニカ)
          小沼ようすけ(ギター)


音楽ライターの徳永伸一さんからメールをいただいた。

彼が勤務している東京医科歯科大のキャンパスで

コンサートを開くという案内だった。





ハーモニカとギターのデュオ。


新宿での野暮用をなんとか終えて、中央線快速に乗って

お茶の水で下車。聖橋を渡ったところにある

東京医科歯科大学湯島キャンパスのなかへ早足で入っていくと、

すでに5時の開演時間を15分ほど過ぎていた。


大学の教室を使ってのコンサート、

会場には多くの観客が詰めかけている。

徳永さんが受け持っている「現代パフォーミングアーツ入門」と

「芸術II」という授業の一環として開催されるそうだ。

なので、多くは学生のようだ。しかし、学校関係者ならびに

学外でも自由に参加できるという太っ腹な企画。

入場料は無料。

おそらく、ちょうど徳永さんがコンサートの説明を

していたのだろう。ちょうど話が終わって、演奏者2名を

呼び入れたところでボクも着席。


2001年にアルバム・デビューを果たした小沼ようすけは、

新世紀ジャズの旗手として注目を集めた逸材。

ジャズ・フェスからクラブまで、大小いろいろと

彼のライヴを見てきたが、いずれもレーベルとの契約による

リリースされたアルバムに準拠するパフォーマンス

であることがほとんどだった。

唯一、ちょうどデビュー直前に、渋谷の小さなクラブで、

彼が参加していたアクアピットという、

オルガン・トリオと共演していた場面に遭遇したことが

あったのだけれど、ズッポリとブルージーなギターを

弾く若手だなぁと思ったことを記憶している。

それがメジャー・デビューすると、違うキャラで登壇

しなければならなくなるのは、仕方のないことかな。


でも、小沼ようすけを、スムースな音楽の担い手だと

もし思っていたりしたのならば、ちょっと異を唱えたい。

もちろん、作曲家としての彼は、繊細な感性と

群を抜いたテクニックを活かした豊かな表現力で、

独自の世界を広げ続けている。

だから、彼を単なる「ジャズ・ギターの演奏者」と

認識するのは適当ではないのだ。


にもかかわらず、ジャズ・ギターにはジャズ・ギターの

勘所(かんどころ)というのがある。


これを弾かれると、なんでも許しちゃう・・・

というのがそれなんだけど、

プロには必ずといってよいほど備わっている。

決して腕の優劣ではなかったりするところがオモシロい。


で、このようなこぢんまりとしたラフなセッションだと、

オフィシャルな小沼ようすけでは見られない、

そんなギターが堪能できるのではという

期待が膨らむというわけなのだ。


一方のジョー・パワーズ。

2008年にはベルギーハモニカ協会主催のハーモニカ・コンテストで

クラシック部門の優勝を果たすほどの実力派。

というのは、当夜のインフォメーションで知ったのだけど(笑)。

彼の実演で驚かされたのは、ダイアトニック・ハーモニカで

ほぼクロマチック・ハーモニカの代用ができてしまうというところ。

細かく解説しないけど、

鋏一本であらゆる造形を二次元化させてしまう

三代目林家正楽の紙切り芸にも通じるような「神業」なのだ。


かつてハーモニカの神様であるトゥーツ・シールマンスの

取材をした際に、間近で彼が吹くクロマチック・ハーモニカを

見聞きしたことがあるのだけれど、それはそれでとても

複雑な操作だった。まさに、バンドネオンの代用として

考え出されたハーモニカが受け継いだ操作性の難しさ

のような気がしたものだ。

一方でワン・ノートの音列しか組み込まれていない

ダイアトニック・ハーモニカでは、

単純なコード進行の曲ならまだしも、複雑で転調も多い

ジャズなどのジャンルでは対応が難しいことが多い。

それなのに、ジョー・パワーズは、唇と吹き込む息の調整で、

すべての階調を出すことができるのだ。

いわば黒鍵だけのピアノで、白鍵と黒鍵を合わせた、

下のドから上のドまでの11音を出してしまえるという感じ。

もちろん、そういう技術的な力業で音楽が熟成するわけではない。

ジョー・パワーズのハーモニカをもうひとつ、たとえてみよう。

それは3色ボールペンで描かれるモネの風景画。。。


いや、あまり野暮な比喩は彼の音楽性を損ないかねないので

このあたりにしたい。


この2人による邂逅が織りなす音の絡み合いは、

一期一会を絵にしたかのような希有な空間を生み出してくれた。


こんな授業を受けて、(ま、レポートは書かないといけない

らしいのだけれど)単位をもらえるなんて、

うらやましい学生だこと。

現代パフォーミングアーツ入門の情報については

こちらをチェックしてください。

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菊地成孔コンサート2009第一夜




◆【ライヴ短評】━━━━━━━━━━・・・・・・・・・・・‥‥‥………

菊地成孔コンサート2009第一夜@BUNKAMURAオーチャードホール

          メンバー(菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール)
          菊地成孔(サックス、ヴォーカル)
          早川純(バンドネオン)、田中倫明(パーカッション)
          大儀見元(パーカッション)、林正樹(ピアノ)
          堀米綾(ハープ)、吉田翔平(ヴァイオリン)
          楢村海香(ヴァイオリン)、菊地幹代(ヴィオラ)
          徳澤青弦(チェロ)、鳥越啓介(ベース)
          special guest 林正子(ソプラノ)


三年連続で開催された菊地成孔の

ホール・コンサート・シリーズ。

第一夜はペペ・トルメント・アスカラールの

ステージだ(ちなみに第2夜はDUB SEXTET)。


バンド名はスペイン語で、

ペペが「伊達男/女たらし」、トルメントが「拷問」、

アスカラールが「砂糖漬け」という意味をもっている。


編成はハープ、ラテン・パーカッション、アフロ・パーカッション、

ストリングス・クァルテット、バンドネオン、ピアノ、

ベース、サックスという前代未聞の組み合わせで、

2005年にお目見えしたときは

「菊地成孔は何をめざしてオーケストラをこれほど

ゆがめてしまったのか?!」と

話題騒然になったいわくつきのもの。


2007年にこのオーチャード・シリーズのために

メンバーを一新させて三年の熟成を経た“味”を楽しむ

という趣向になった。


ペペ・トルメント・アスカラールが異形であると騒がれる背景には、

西洋音楽的に常識とされる各楽器のバランスの基準があるのだけれど、

その一方で新世界と呼ばれたアメリカ大陸へ渡っていった

それらの音楽には、伝えていく人々のもつ文化的背景や

現地の環境などが加わって強制されていく歴史が存在し、

例えばひとつの集大成としてピアソラの六重奏団のような

“結晶”が残されている。


だから“異形”には、排他的な意味合いではなく、

むしろクリエイティヴな紳家計としての評価を

含んでいるということを知れば、

菊地成孔が決して奇を衒うのみなく、

そこからの偶発性を狙っただけのものではないことを

察知できるはずだ。


それにしても、このバンドとその音が、

まさにあつらえたようにオーチャードという場所に

収まったことを見せつけられるようなライヴになろうとは

思わなかった。

ペペ・トルメント・アスカラールは、

結成当時の九段会館でのライヴを経験して、

その“存在する場”が重要なバンドであることに

薄々気づいてはいたのだけれど、

いま振り返ってみるとバランスに画竜点睛を

欠くところがあったように思い出される。


それが、今回のライヴでは、

ピッタリと合っていたのだ。


メンバーから発せられるオーラが

バンドという集合体に増殖して空間を支配していく。


その大きさがまさにホールの空間を埋め尽くすに必要不可欠な量となり、

観客という生命体の波動をことごとく巻き込んで増幅させる。


音楽の“黄金律”とでもいうべき

新たな方程式を打ち立てたのが、

ペペ・トルメント・アスカラールというバンドの

サウンドであり存在であることを、

当夜は歴史の承認の1人として体感することができたのである。


このバンドが自由にその空間支配度を調整できる能力を

身につけているのだとしたら、

次はいかなるメタモルフォーゼを具現させてくれるのだろうかーー。


夢はきっとさらにつづくに違いない。

そんな期待をお土産としてもたせてくれた

至福のステージだった。



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テーマ: JAZZ - ジャンル: 音楽

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